汎用的な生成AIの課題と今後、目指すべきもの【BEPPU×AI vol.3】
別府市 企画戦略部 情報政策課 デジタルファースト推進室です。
今回は、生成AIを利用する中で感じた課題について整理し、今後の活用の方向性についてお話ししたいと思います。
汎用的な生成AIの課題
別府市では令和5年11月から別府市として手を入れていない汎用的な生成AIの利用を開始しています。
利用して課題と考えたことは「ハルシネーション」、「全世界の情報から回答を紡ぎ出す」の二点です。
「ハルシネーション」は、生成AIの課題としてよく言われていることですが「事実に基づかないことを回答してしまう」ことであり、「ハルシネーション」の可能性があるため、生成AIの紡ぎ出す回答は再度確認することを利用者に求めています。この行為は、業務負担の軽減効果を減少させますね。
もう一つは「生成AIの回答は全世界の情報から回答を紡ぎ出す」ことです。これにより、どのような質問に対しても回答することができるのですが、別府市以外の情報も含まれるため汎用的な回答になってしまう点が課題として考えています。
別府市におけるデジタルファーストの取り組み
ここで、別府市のデジタルに関する全体的な取り組み状況について少しご紹介したいと思います。
別府市は令和元年度にデジタルファースト宣言を行い、令和3年度にデジタルファースト推進計画を策定し、推進計画に基づきデジタル関連の施策を展開しています。
デジタルファースト推進計画では、市民の幸福度向上を目的として「市民がご自身のスマートフォンを利用して24時間365日どこからでも行政サービスが利用できる」こと「いかなくていい市役所」の実現を目指しています。
キャッチコピーは「ポケットの中にもうひとつの市役所を」です。
前回の記事でご紹介したRPAのほか、市民の方の利便性向上の取組として、市役所に対する問い合わせの自動応答として「チャットボットサービス」に力を入れて進めています。
この「チャットボットサービス」は、別府市公式LINEアカウントを市民とのインタフェースとして、ライフイベントごと(転入、転出、転居、出生、おくやみ、結婚、離婚)、分野ごと(子育て、障がい福祉、マイナンバー、ごみとリサイクル)のチャットボットサービスを提供しています。
現在提供しているチャットボットサービスは、質問に対する回答が固定されている方式(シナリオ型)で、質問を選択するとあらかじめ設定している内容を返答する方式です。
このシナリオ型は、回答が誤る可能性は低いものの、事前に準備した質問内容と違うものは回答が用意されていない、という特徴があります。
利用者である市民の立場で見たときに、自分の知りたい情報に合致しない、ということは大きなデメリットと考えています。
別府市が目指す将来像
シナリオ型のチャットボットサービスのデメリットを踏まえ、さらに、別府市のデジタルファーストの将来的な目標「いかなくていい市役所」実現のため「別府市の情報」を対象として「正しい回答」を行う仕組みを構築したい。
そこで重要になってくるのが「生成AI」と考えています。
生成AIの課題である「ハルシネーション」、「全世界の情報から回答を紡ぎ出す」これらの課題を解決できれば、別府市役所に対する問い合わせを生成AIが正しく回答していくことが実現でき、シナリオ型のチャットボットサービスの課題である、事前に準備した質問内容と違うものは回答が用意されていないという点も解決できます。
将来的には、デジタルファースト推進計画の目指す姿である、市民は24時間、365日、ご自宅などどこからでも、ご自身のスマートフォンを使って、気になったことをいつでもすぐに確認できる。
そして質問に回答するだけでなく、質問内容によっては電子申請に誘導したり、窓口の予約を行ったり、別府市の総合窓口的な機能、市役所ポータルの実現に近づくのではないかと考えています。
これが実現すると市民が便利になるとともに職員の負担も大幅に軽減される、このような世界の実現を目指してデジタルの取り組みを進めています。