「生成AI」×「RPA」を試験的に使ってみました【BEPPU×AI vol.2】
別府市 企画戦略部 情報政策課 デジタルファースト推進室です。
今回は「生成AI」と「RPA」を絡めた取り組みを試験的に行いましたので、その取り組み内容についてご紹介します。
はじめに
別府市では「RPA」を利用した自動化に取り組んでおり、業務効率化に大きく貢献しています。そして、令和5年から業務効率化を目的として「生成AI」の利用も開始しています。業務効率化のための「RPA」と「生成AI」。
この2つを掛け合わせると、“効率化”ד効率化”、さらに効率化が進む!!
のでは?と考えて試験的に「生成AI」×「RPA」の取り組みを実施しました。
別府市におけるRPAの取組状況
別府市では、RPAを令和元年5月から活用をはじめ、令和5年度末までに108の業務で自動化を行っています。自動化により職員の作業時間の6,354時間を縮減しています。RPAの動作に必要な手続き(シナリオと言います。)は、主にデジタルファースト推進室で製作しています。内製化率は84%です。
2022年度になりますが、愛媛県が主催する「行革甲子園2022」では当市のRPAの取り組み事例を紹介させていただきました!
別府市における生成AIの利用状況
生成AIは前回記事「 生成AIの本格運用をはじめました【BEPPU×AI vol.1】」でご紹介のとおり、令和5年11月から利用を開始しています。
生成AIは職員が利用上の注意点に基づき自由に業務に利用しています。
また、情報部門では市民からいただくご意見メールの「要約」や「分類」などに利用しています。
市民からのご意見メールは、公式ホームページから送ることができます。毎月多くのご意見メールをいただくのですが、その中には営業のメールや単なる質問などがあり、また、メールの文章も長いものや短いものなど様々です。
大事なメールを見逃さないため、生成AIを利用して「要約」や「分類」を行っています。
「生成AI」×「RPA」
市民からのご意見メールを毎月集計して生成AIへ「要約」、「分類」を指示する処理は、RPAのシナリオ2つで自動化しています。
シナリオ1:市民からのメールをメール一覧として表形式にまとめる(従来から実施していました)
シナリオ2:作成したメール一覧のメール本文の個人情報や機密情報を排除して生成AIに投入し「要約」と「分類」を行うRPAシナリオ(今回追加しました)
仕組みの概要を下図に示します。
結果と課題
生成AIの活用をはじめたときに生成AIの新たな利用方法として、文章の内容から作成者の「感情」や「満足度」を測定できないか、ということに取り組みました。その結果、「感情」や「満足度」の測定はできたものの運用できるレベルではなく「要約」や「分類」については、運用することが可能と判断し継続利用しています。
今回の処理は、膨大な数のメールを手作業で1件ずつ生成AIに投げ込むことは困難であり、RPAでなければ実施できなかったものと考えています。
RPAのシナリオの作成は、職員で作成して対話形式で生成AIを利用しました。RPAの処理は、おおむね問題なく動作したのですが、生成AIの回答にかかる時間にばらつきがあり、RPAの処理に影響する場合がありました。また、生成AIは文字数で課金されるため、毎回メール文以外は同じ内容のプロンプトを利用しており、どうしても文字数が多くなってしまうことも課題のひとつです。
今回は、試験的な取り組みとして実施し、生成AIに1件づつプロンプトを作成し質問したのですが、表形式で質問する、API連携する、バッチ処理を行う、など他の方法についても工夫の余地はあるものと思っています。
評価
今回のRPAと生成AIの試験的な活用に取り組みについては、大幅な業務効率化を実現した!とまではいかなかったものの、生成AIのRPAを利用した自動化は可能であり、職員の負担軽減に繋がる可能性を秘めているものと評価しています。
“効率化”ד効率化”と“効率化の2乗”を目指したのですが、そこまでの効果はなく、“効率化”+“効率化”の効果はあると思います。
今回の取り組みから派生した利用例として、市民へのアンケートなどで自由記述欄に記入された内容を生成AIを活用して分類を行いました。
対象のアンケート件数は約2,600件であり、以前実施したときは1件ずつ職員が目視で確認して分類し、かかった時間は職員一人で2週間くらい。今回、「生成AI」と「RPA」を利用することで、なんと2日間!で分類作業が行えました。
生成AIでの分類の結果は、職員が再確認したのですが、担当課からは「大幅な時間短縮が図られた」、「すごく楽になった」との声をいただきました。試験的な取り組みを行っていた成果であると評価しています。
おわりに
生成AI、RPAなど業務効率化に資する解決策(デジタルツール)は様々なものがあり、日々新たなサービスが創出されていると思います。このような解決策を多く知っていること、使えること、経験しておくこと、これは、今後新たな課題が出てきた時の解決策が広がるものと考えています。
今後も、生成AIのさらなる活用に向けて、新たな技術へ挑戦し続けていきます!