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生成AIの本格運用をはじめました【BEPPU×AI vol.1】

別府市 企画戦略部 情報政策課 デジタルファースト推進室です。

別府市では、生成AI(ChatGPT)の利用を令和5年11月より開始しています。このnoteで(少し昔の話になりますが)生成AIの利用開始までの取り組みをご紹介します。


1  はじめに

横須賀市さんがいち早くChatGPTを業務に活用したニュースを受けて、「業務でChatGPTを使っていいんですか?」こんな問い合わせが増え始めた令和5年の春。職員有志でChatGPTの勉強会を開催する等、活用に向けた機運も高まってきている中、令和5年8月から汎用的な生成AIの実証運用を2回行い、実証運用の結果を受けて、令和5年11月から生成AIの本格運用を開始しました。

2  実証運用の構成

実証運用は、シフトプラス株式会社の「自治体AI zevo」を利用。このサービスを利用した理由は、LGWANから利用できるWEBベースの製品であり、ちょうどその時期に試用を行えたこと、です。

本格運用までに以下のようなことを行いました。
・ガイドライン(利用上の注意点)の整理
・実証運用についての説明会の開催
・実証運用第一弾(GPT-3.5)
・実証運用の結果を公表
・実証運用第二弾(GPT-4)
・準備を行い本格運用

3  利用上の注意点の整理

実証運用の開始に向け生成AIを利用する上でのガイドラインとして利用上の注意点をまとめました。このようなガイドライン、あまり項目が多いと利用する方は大変ですよね。だから、注意点は必要最低限で誰でもわかりやすい(=守りやすい)ようにシンプルに、以下の3点。

・ 質問に機密情報や個人情報を含めないこと
・ 回答内容はすべてを信じるのではなく、事実確認を行うとともに、
  そのまま利用せず参考情報として扱うこと
・ 公用でのWEB版(無償)の生成AIの利用は禁止する

4  実証運用についての説明会の開催

実証運用にあたっての説明会は8月3日、4日の2日間。のべ5回開催し、168名の職員が参加しました。

説明会の様子

説明会では、そもそも生成AIとは?という概論、生成AI利用上の注意点、そして、「自治体AI zevo」の操作方法について説明。
説明会に参加できなかった人向けに説明会の動画も作成し、職員ポータルからいつでも視聴できるようにしました。
実証運用の参加条件として、生成AI利用上の注意点を正しく認識して利用してもらうため、説明会の参加者、または、説明会の動画視聴者としました。

5  実証運用第1弾(GPT-3.5)と実証結果

実証運用第1弾は、令和5年8月3日から9月8日までの26日間(勤務日)。

実証運用の結果は以下のとおりです。
・利用文字数:925,538文字
・質問数:1,778回
・利用した課:41課
・1質問あたりの文字数:521文字

実証運用後に利用者にアンケートを実施し、
・仕事の効率が向上する:87%
・新たなアイデアや知識を得ることができた:68%
・今後も継続して利用したい:92%
など業務の効率化、新たな気付きに効果があり、今後も利用したいという意見が多数。
それと、一番大事だと思っていた「生成AIの利用上の注意点について遵守できましたか?」という質問に対しては“100%遵守できた”と回答。

実証運用第1弾の結果のまとめについては別府市公式ホームページでも公開しています。


6  実証運用第2弾(GPT-4)と実証結果

実証運用第1弾はGPT-3.5の利用でしたが、GPT-4を利用して実証運用第2弾を実施しました。期間は令和5年9月26日から10月25日までの30日間で、実証運用の参加者は、実証運用第1弾と同様、説明会の参加者、または、説明会の動画視聴者です。

実証運用の利用結果は以下のとおりです。
・利用文字数:696,167文字
・質問数:733回
・利用した課:28課
・1質問あたりの文字数:950文字

実証運用第1弾と比較して、回答内容が詳しくなっているだけでなく長文も可能となり、1質問あたりの文字数も1.8倍となりました。また、GPT-4の回答は、GPT-3.5と比較して格段にすごくなっていて、驚いたことを記憶しています。本格運用は、GPT-4を利用しよう、そのように決定しました。

7  準備を行い本格運用

本格運用のために契約手続きを行い、利用者の申請を受け付け、令和5年11月1日から生成AIの本格運用を開始。利用者の申請は、説明会の参加者、または、説明会の動画視聴者、それと、業務上必要である、という所属長の承認をもらうようにしました。

職員への周知は、庁内オウンドメディアとして発行している「デジタルファーストニュース」で、生成AIが業務で利用できることを広く周知しました。
利用登録者数は約170人。

オウンドメディア「BEPPU×Digital First News vol.38」

本格運用後は、定期的にプロンプトの勉強会や相談会を実施し、利用方法についてデジタルファースト推進室で支援を行っています。今年は、もっと活用の幅を広げていきたいです。

8  おわりに

生成AIを利用する目的の一つは「業務の効率化」。
業務の効率化に活かしていくためには、どうすればいいのか?
活用の幅を広げて、業務の中で有効に活用していく、もっともっと使い倒す、ことが大事なこと。そのために、効果的な利用方法を周知したり、利用者のスキル向上のための勉強会の開催、などなど取り組むべきことは山ほどあります。

今、生成AIについて一時期のブームは少し去り、今年は、とりあえず利用してみようから、使って効果を生み出すことが試される年と考えています。
自治体AI活用マガジンの参加自治体のみなさんと情報共有を図りながら、業務効率化を実現する活用を進めていきたいと思っています。

これからも、よろしくお願いします。


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